無限ザコ体験

ピンクの象だよー☆

BABEL

 

昨日、東京美術館で観てきました。

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そう、BABEL。

 

 この看板に写されたバベルの塔のモノホンは勿論、ボスとブリューゲルの描く魑魅魍魎が主目的です。魑魅魍魎大好き。

昨日が展示の最終日だったので、超滑り込みです

当然ですが、大変混んでました。でも、それが全然苦にならない程素晴らしい作品に多く出会えました。

最近絵画鑑賞において私は「ピンと来ない作品までじっくり眺めること」よりも「一目でビビッときた作品にしっかり向き合うこと」に重きを置くようにしているのですが、今回は向き合いたいと思えるものが本当に多かったんです(ピンと来ないものでも説明まではつい目を通してしまうのですが)。

8エリアで構成された盛り沢山の展示にて、超メインのバベルの塔は最後の最後で待ち受けていましたが、見ている間は終始疲れを忘れていました。

 

 まず15,16世紀におけるネーデルラントの彫刻のリアルさ・絵画の色鮮やかさに圧倒されました。特に2つ目のエリアで見た宗教画は、薄く透明なガラスかなんかでコーティングされてんのかって位ツヤがあって輝いて見えました(イエス様を抱くマリア様の絵で「宝石を散りばめたような~」みたいな解説があった気がするけどお世辞抜きにしてこれ以上に上手い説明はねえなと思ったり)。「枝葉の詩集の画家」とか呼ばれてた画家の絵に描かれた木の葉が、本当に刺繍みたいでびっくりしました。聖カタリナと聖バルバラの美しく柔らかい表情も素敵でした。個人的には二人が持っていた本が付箋だらけで、蛍光ペンみたいな色の文字が書き込まれているような所も気になりました。受験勉強かな?あと、主な画題が風景画に移っていったらしい時期に、色の使われ方まで明らかに変わっているのも面白いと思いました。丁寧に重ね塗りをする手法から、混ぜた絵の具をシャシャーっと手早く塗る方法に変わったそうですが、迷いの無い筆さばきが伺えて感動しました。

 

 その次に現れたのが、個人的ド本命のボス・ブリューゲル作品で暴れ狂うバケモノ共です。ボス作品が現れた瞬間の「待ってました感」半端なかったです。展示の直前で丁度階を移すことになっており、入り口の横にトイレとベンチもあったので、鑑賞の直前に数分間のトイレ休憩を挟むことが出来ました。お陰で万全の態勢で見に行けたので美術館GJ。ホントGJ。おそらく今回はブリューゲルがメインという事で、ボスの作品は『放浪者』『聖クリストフォロス』のみ展示されていました。展示にモチーフの詳しい解説があったので、テーマが非常に分かりやすかったです。解説を事前に見ていたこともあり、両作とも遠くで主要人物を取り巻く様々な現象・物体・生物が一斉に耳打ちで語り掛けてくるような印象を受けました。怪物はほぼいないのに胸がざわつく感じがしました。凄い。その後には『快楽の園』を写したものに解説を加えた掲示板(?)がありました。色彩豊かで奇妙な架空の生物やらオブジェやらがひしめき合っている様子はコピーにも関わらず余りに神秘的で美しかったです。本物が観たい…ボスの後世、彼の作品から影響を受けた画家の版画も沢山見ることが出来ました。ほとんど作者不詳でした。模倣とはいえどれも良作で、ボスへの敬意が前面に表れていたように思いました。あの中では『象の包囲』が一番好きですねピンクの象なので。象がうっすら浮かべる血管にやたら立体感があって、ものすごい迫力がありました。彫版した人の技術…

 その後、とうとう展示でもメインのブリューゲル作品にたどり着きました。彼もまたボスに影響を受けた画家の一人で、悪魔と罪人がごった返す版画を多く生み出していました。特に、それらがどんちゃん騒ぎする連作七つの大罪は本当に良かったですね(ここで見られたのは『大食』『邪淫』の2つでした)。俗っぽく皮肉に溢れた題材に散りばめられた不気味な魑魅魍魎は確かに人間の醜さを表現していますが、表情豊かでどこかユーモラスで可愛らしい部分があります。描いてる本人も実は怪物と一緒になって楽しんでたんじゃないかと少々勘繰ってしまいました。また、お気に入りのモンスターを何匹か発見出来ました。

 

 やがて、最後に現れたのが、超メインのバベルの塔です。遠くから現物を観てまず驚いたのが、サイズが想像していたより遥かに小さかったことです。ポスターや公式サイト等で何度か拡大されたものを見ており、そこにおびただしい人々が細かく描き込まれていることは把握していたのですが、まさかあんなに小さいキャンバスにそれが描かれていたなんて…。次に驚かされたのが、色彩の美しさ。これも現物を観るまでは少々曇りがかった感じを想像していたのですが、実際は鮮やかに色が重ねられており、光沢が掛かって見えるのが分かりました。美術館の程よい照明に照らされた現物を観ない限り、あの美しさを知ることは出来ません。この時点で心から足を運んで良かったと思えました。絵画の前には長列が出来ており、そこに並ばなければ真ん前で作品を観ることは出来ない仕組みになっていましたが、ちゃんと並んで拝みに行きました。その上で、藝大生の方が拡大複写したものをじっくりと眺めて出ました。

 この絵画における塔の出入り口の様式が一つ一つ違っていることを解説で知りました。そして、この塔が時代を超えておびただしい人に情熱を注ぎこまれたものであることを肌身に感じました。世界中の人が同じ言語を有し「有名になりたい」という同じ壮大なバカげた夢を抱え、とんでもない時間をかけて一つのものを創り続ける様は、神様から見たら邪なんでしょうが、私には美しいと思えます。私は「ブリューゲルは、バベルに携わる人々をどう考えていたのかなー」なんてことを妄想しながら、満ち足りて展示を後にしました。

 

グッズもしっかり買いました。

特設ショップもとんでもなく混んでましたが、耐えました。

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○モンスター・マグカップ

○『快楽の園』のA4クリアファイル

○ヒグチユウコさんのアートワーク本『BABEL』

 

この3点を手に入れました。

 

ヒグチユウコさんの本は今日の夜にでも読みたいと思います。楽しみ!

 

しかし混んでても居心地がいい空間って美術館位だと思います。

芸術っていいですね。

 

更新しません。さようなら

 

【完】